VVとMGがブラックウェル家を出たのは女学院(高校に相当)の3年生の時、労働者を酷使するブラックウェル家と事業方針がかみ合わなくなったのが原因だった。
港の風が湿った空気を運んでくる夜、VVはBlackwell家の門を出た。VVは振り返らず歩き出す。MGも静かにブラックウェル家の門を出て、足を早めてVVの横に並び、一緒に歩きだした。
二人は港の見える古い建物に入る。VVは事務所の窓を開けて、深く息を吸い、MGに向き直る。
VV 「父からもらった船は全部置いて来たわ。あれは“Blackwell家の力”の象徴だから。持って出れば、結局私はあの家の娘で終わる。 だから、今の私は一文無しよ。それでも私についてくる?」
MGは一瞬だけ目を細め、すぐに笑う。
MG 「いいじゃない。 私はお金であなたの相棒になったわけじゃないもの」
VVは少し肩をすくめる。
VV 「まあ、完全にゼロってわけでもないけどね。執事の白が後から来てくれるって言うし、彼に任せれていれば、学校に通いながらでも商会の通常業務は任せられる。でも、とりあえずの次の手を考えなくちゃね」
MGは少しだけ言いにくそうに口を開く。
MG 「実はね……私もあなたが持ってたほどじゃないけど、小さな船を持ってるの。父の債権者にも取られなかった、私の船」
VVの目が輝く。
VV 「船?いいわね。遠くまで行けるの? もし日本くらいまで行けるなら、ちょっと稼げるかも。どこにあるの?」
MGは港の奥を指さす。
MG 「あそこ。クレーンで蒸気機関車を降ろしてるのが見える?イギリスから機関車を運ぶ仕事を頼まれてたのよ」
VVは目を見開く。
VV「あれ? あれがあなたの船?小ぶりだけど、アメリカまで一往復すれば一儲けできるわね…… ――そうだ、いいこと思いついた!」
MGは呆れたように笑う。
MG 「VV、あなた、すぐひらめくのね。でも、そういうところ……期待してるわ」
VVは胸を張って言う。
VV 「任せといて!」
【ep000013】